みなさん、こんにちは! 「Excel-Fun.xls*」アドベントカレンダー2025、14日目を担当させていただきます、毎日信金(@excel_pc) です!

普段は金融機関(信用金庫)で働きながら、X(旧Twitter)などでExcelやVBAの発信をしています。
今回は、私が「なぜVBAを始めたのか?」。 そのきっかけと、初心者の頃の絶望、そしてコミュニティとの出会いについてお話ししたいと思います。
これからVBAを学びたいと思っている方、今まさにエラーと戦っている方の励みになれば嬉しいです!
転機は突然に:営業から本部へ、そして絶望

入庫5年目までの私は、信用金庫の営業マンとして毎日外を走り回っていました。 成績も悪くなく、表彰されたこともあります。「パソコン(ExcelやWord)が得意な営業」として、支店でもちょっとした頼られポジションでした。
「そろそろ大型店舗で、もっとバリバリ営業したいなぁ…」
そんな野心を抱いていたある日、辞令が下ります。
「本部へ異動」
行き先は、ALM(資産・負債の総合管理)委員会やリスク管理委員会の事務局。 バリバリ営業する夢は消え、全く未知の世界へ放り込まれました。そして、そこで私を待っていたのは……
想像を絶する「紙、紙、紙」の世界

本部初日、先輩から渡されたのはパソコンのパスワードではありませんでした。
「これ、今後使うから渡しとくね!」
ドンッ!!と渡されたのは、「○○帳票」「○○表」「○○明細」といった、大量の紙の書類。 金融機関あるあるかもしれませんが、とにかくアナログなんです。
「8:2の法則」のジレンマ
私の仕事は、これらの紙の情報を元に、経営陣への報告資料を作成すること。 毎月8枚~15枚ほどの資料を作るのですが、当然、数値のミスは許されません。
本来、事務局の仕事は「数字を分析して経営提言すること」のはず。 しかし現実は……
- 資料作成(転記・集計):8割
- 分析:2割
ひたすら紙からExcelへ手入力し、間違いがないかチェックするだけで1日が終わる。 資料が完成した頃にはヘトヘトで、肝心の分析をする時間はほとんど残されていない。
「これ、本当に人間がやる仕事なのか……?」
そんな疑問と焦りが、私の中に芽生え始めました。
覚醒:「魔法のボタン」を求めて

「この状況をなんとかしたい!」
まず最初に取り組んだのは、Excelシートの改造です。 紙から手入力する「Inputシート」と、印刷用の「Outputシート」を分け、関数(VLOOKUPなど)で自動反映させるようにしました。
これだけでも随分楽にはなりました。でも、私の野望はもっと先にありました。
「データ to データ」の夢
「そもそも、紙を印刷して、それをまたPCに入力するって無駄じゃないか?」
基幹システムからCSVなどのデータを出力できるなら、「紙 → データ」ではなく、「データ → データ」 で完結できるはず。
そして、私の頭の中に一つの「夢」が浮かびました。
「所定のフォルダにデータを入れて、ボタンを『ポチッ!』と押せば、資料が勝手に完成する……そんな魔法みたいなことができないか!?」
そう、これが私がVBA(マクロ)という「魔法の杖」を手に取った瞬間です。
独学の苦しみと「悪魔の囁き」

もちろん、当時の私はプログラミング超初心者。 AIなんて便利なものもありません。頼れるのは本とGoogle検索、そしてYouTubeだけ。
見よう見まねでコードを書いても、画面に出るのは「エラー」の文字ばかり。
- 「型が一致しません」
- 「オブジェクトが必要です」
何が違うのか全く分からない。1行進むのに1時間かかる。
「これ、手作業でやった方が早いんじゃね?」
何度もそんな悪魔の囁きが聞こえました。 でも、私は諦めませんでした。「俺は絶対、いつか『ボタンポチッ!』で仕事を終わらせてやるんだ!」という執念だけで、キーボードを叩き続けました。
転機:コロナ禍と「師匠」との出会い
そんな中、世の中は新型コロナウイルスの影響で外出自粛ムードに。 皮肉なことに、飲み会などがなくなったことで、私には「がっつりVBAを勉強する時間」が生まれました。
X(Twitter)での運命の出会い

独学に行き詰まっていたある日、X(旧Twitter)で弱音を吐きました。
「VBAわかんねー!」 「エラーで動かないよ~(泣)」
すると、そんな私のポストに、優しく返信をくれる方が現れました。 りゅうりゅうさん(@blacklist_ryu) です。
見ず知らずの私に、コードの書き方や考え方を丁寧に教えてくれるりゅうりゅうさん。 「世の中には、メリットもないのにこんなに優しく教えてくれる人がいるんだ!」と感動しました。
恥ずかしがらず、勇気を持って聞く
それからの私は、恥を捨ててりゅうりゅうさんに質問しまくりました。 時には、冗談半分で「信金さん、少しは自分で調べて!w」 とツッコまれたこともあります(笑)。
でも、この経験があったからこそ、今の私があります。
つながる輪:Excel-Funコミュニティへ

りゅうりゅうさんとの出会いをきっかけに、私の世界は広がりました。
「VBAの悩みはVBAerに聞け」という勉強会の第1回から参加。 勉強会のあとの二次会、三次会、バーチャルオフィス(Gather)、もくもく会……。
そこには、同じように悩み、共に学ぶ仲間たちがいました。 孤独な戦いだったVBA学習が、いつの間にか「楽しい時間」に変わっていました。

運営する側へ
そして2024年12月。 VBA総合コミュニティ「Excel-Fun.xls*」の発足にあたり、微力ながら運営メンバーとして関わらせていただくことになりました。
数年前、「VBAわかんねー!」と叫んでいた自分が、まさか登壇したり運営したりする側になるなんて、夢にも思いませんでした。
これからVBAを始める君へ

最後に、かつての私のように「これからVBAを始めたい」「今挫折しそうだ」というあなたへ、3つのアドバイスを送ります。
1. 分からないことは質問しよう!
独りで悩む時間はもったいないです。「Excel-Fun.xls*」のDiscordなどで質問してください。 特に「画面共有」で教えてもらうと、成長スピードは独学の2倍~5倍違います!
2. コードは眺めるな、手を動かせ!
本を読んだだけで泳げるようにならないのと同じで、コードも書かないと覚えません。 写経でもいいので、とにかく自分の手で入力してください。
3. 「球数制限」なんて気にするな!
野球では投げすぎは良くないと言われますが、プログラミングに球数制限はありません。 初心者のうちは、質より量! 「やりすぎかな?」と思うくらい、ガリガリとコードを書いて没頭してください。その経験が必ず血肉になります。
私もかつて、りゅうりゅうさんに無償で助けてもらいました。 今度は私が、そのバトンを次の人に渡す番だと思っています。
VBAの世界は、あなたが思っているよりもずっと広くて、温かい場所です。 「Excel-Fun.xls」でお待ちしています!
リンク集
▼ Excel-Fun.xls 公式サイト* https://sites.google.com/view/excel-vba-fun-for-event
▼ 毎日信金 X(旧Twitter) https://x.com/excel_pc
▼ Excel-Fun Advent Calendar 2025 https://blog-shinchan.com/20251130_excel-fun/
